COLUMN

18歳からの漫画の描き方

vol.18

どこか1つでも良いので6点を目指す

では、私たちはどういう原稿を描けばよいのでしょうか? これはかなりはっきりしています。先ほどの能力パラメーターで1とか2の箇所もあるけれど、どこか1つが5点満点中5点、もしくは6点の原稿です。創作は果てしなく自由ですから、漫画家志望者の原稿においても、5点中満点中6点というのは時々目にします。例えば、見たこともないような力強いキャラクター同士のかけあい。例えば、ありそうでなかったとても秀逸な企画。例えば、まだ完全には描けていないのだけれども、ベルセルクやワンピースに匹敵するぐらいの圧倒的な世界観。そういうのが編集者が5点中6点と感じる要素です。
その6点の部分がキャラクターだと最高だと思います。きっと編集者の方は、みなさんの原稿やみなさん自体をとっても大事に扱ってくれると思います。それがストーリーだとしたら、「ストーリー、とっても良く出来ています。ぜひ、キャラクターもがんばって、読者がより感情移入出来るキャラクターを一緒に作りましょう!」と言ってくれると思います。編集者の方々も育成のプロなので、現状で能力値が1とか2の箇所については、一緒に描いていけば4ぐらいまでは引き上げるスキルを持っています。特に画力・絵のクオリティは正しいトレーニングを積めば、ほとんど誰でもある程度上手になるので、現状でデッサンが狂っていても、まだGペンに慣れていなくても大丈夫です。これがいわゆる「荒削りだけどなにかある」原稿です。
これもベテラン編集者の方に聴いたことがあるのですが、「オール4、もしくはオール4.5の原稿」を求めるならば、何も新人に求めないで、過去にある程度の実績と経験がある中堅漫画家さんに仕事をお願いすればよいのです。経験値があるので、必ず締め切りまでには原稿を上げてくれるし、驚くような新しさはなくても、きっちり計算されたプロの仕事をしてくれます。何故編集者が何の実績も経験もない新人と組んでリスクを犯すのか(自分が編集者の立場だったら、新人と組んで仕事をするのは「リスク」です)と言えば、この5もしくは6点の要素が欲しいからです。
みなさん、自分のこれまで描いた原稿を見返してください。みなさんの原稿の中に、5ないし6点の要素は見いだせるでしょうか? 「ここの部分は絶対の自信がある。誰の原稿にも負けない」という何かがあるでしょうか?

そこを伸ばしてください

そういう要素がある方は、ぜひその要素を伸ばす原稿を作って行ってください。例えばヒロインがとんでもなく可愛く描ければ、主人公が多少地味でも今後その部分を補強して行けば、或いはヒロインのキャラがメインになる企画・ストーリーを作れば充分売り物になると思います。
そういう要素がない方は、ぜひそういう要素、ストロングポイントを見つけてください。人間とは面白いもので、一緒に課題やドリルをやっていると、生徒さんそれぞれに、何かしらそういう面というのはあります。そういう面が最初から光っている方もいますが、多くはよくよく注意しないと見落としてしまうぐらい鈍い光です。けれど、私は育成専門で仕事をしているので、その部分を見出し、そこが光るようにそれぞれプログラムを組んで課題などをやってもらいます。もちろん、投稿作もガシガシ描いてもらいます。そうすると、だいたい2~3作ぐらいで、持ち込み先でも編集者さんに「これ、主人公とヒロインのかけあいが面白いですね」と、こちらの狙い通りの、光る部分に気づいてもらえる原稿になります。そういうのを自分で見つけ、自分で伸ばしていくのはとても難しく、孤独な作業です。なので、いるかMBAのような教育機関だったり、創作チームが必要になります。

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